2026-08-28
欧米不動産で語られる「90年代サマー・エフェクト」──住民が求めるのは“映える設備”よりもだらだらした夏の記憶
アメリカの集合住宅(アパート・マンション)業界で、いま静かに話題になっているキーワードが「90年代サマー・エフェクト」です。これは、プールサイドでだらだら過ごした夏休みや、暗くなるまで近所の公園で遊んだ子ども時代の記憶を呼び起こすような“ゆるい屋外体験”を、住環境のコンセプトに持ち込もうとする動きのこと。
以前はジムやシアタールームなど「とにかく設備数を増やす」“アメニティ競争”が重視されていましたが、最近の入居者、とくに若い世代は、スマホから離れて近所の人と自然に集まれる場所を求めているとされています。そこで、管理会社やデベロッパーは、派手な新設備よりも、バスケットコートやコミュニティプール、木陰のベンチやピクニックができる芝生など、「特別なイベントがなくても何となく長居してしまう、地域に根ざした屋外空間」の設計にシフトし始めています。
この潮流は、過剰なデジタル刺激に疲れた世代が“構われすぎない時間”を求めているサインとも読めます。日本の集合住宅や商業施設でも、イベント主導ではない「何もしないための共有スペース」をどうデザインするかが、これからの差別化ポイントになるかもしれません。