2026-10-09
地政学リスクと金融環境の変化で「金の安全資産機能」は揺らいでいるのか
金(ゴールド)は、株式や債券が荒れる局面で資金の逃避先となる「安全資産」として知られてきましたが、最近の研究では、その機能が金融環境や地政学リスクの種類によって大きく変わる可能性が指摘されています。国際決済銀行(BIS)が10月に公表したワーキングペーパーでは、2000年代以降のデータを用いて、金価格がどのような局面で真のヘッジ(値下がりリスクの保険)になってきたかを検証しました。
同論文によると、金が典型的な「安全資産」として機能しやすいのは、株式市場の急落と同時に地政学的な緊張が高まる場面であり、中央銀行による大規模な金融緩和や、実質金利(インフレ率を差し引いた金利)が大きく低下している時期に、その効果が特に強まる傾向があるといいます。一方で、現在のように名目金利・実質金利とも高水準にある局面では、金利を生まない金への需要は抑制されやすく、「安全資産」とはいえ値動きが不安定になり得ると指摘されています。
投資家にとっては、金をポートフォリオに組み入れる際に、「常に相場全体の保険になる」と期待するのではなく、どのようなショックに対して強いのかを見極める必要があることを示唆する内容です。金価格自体は2026年も高水準を維持しているものの、その裏で需要を左右するドライバー(要因)は複雑さを増しており、金投資は一段とマクロ環境と地政学情勢の分析が問われる局面に入っています。
元記事: Chasing El Dorado: gold under shifting geopolitical and financial conditions