2026-10-19
中世ペストは“自然も巻き込んだリセットボタン”? ヨーロッパの生物多様性に残した意外な爪痕
「黒死病(こくしびょう)」として知られる14世紀のペスト流行は、ヨーロッパの人口を大きく減らした歴史的大災厄として有名です。ところが最新研究によると、この出来事は人間社会だけでなく、野生の動植物の世界にもかなり劇的な変化をもたらしていた可能性があることが分かりました。
研究チームは、ヨーロッパ各地の花粉や動物の骨、古い湖底の堆積物など、“自然のタイムカプセル”を使って、ペスト流行前後の生物多様性(どれくらい多様な種がいたか)を復元しました。すると、黒死病で多くの人が亡くなり、農地が放棄された地域では、草原や森が急速に再生し、そこに暮らす動植物の種類が一気に増えていたことが見えてきたのです。
言ってみれば、人がいなくなったことで「野生がカムバック」した状態。最近のヨーロッパでは、人口減少で放棄された農地に森が戻り、オオカミなどの大型動物も戻ってきている、というニュースを聞くことがありますが、その“前例”のようなことが中世にも起きていたと考えられます。
もちろん、だからといって「ペストは自然には良かった」などと単純に美化できる話ではありません。ただ、人間活動が一時的に弱まるだけで、生態系がかなりダイナミックに反応することを歴史が教えてくれている、という点は興味深いところです。
もし今の日本で農地が大規模に放棄されたら、数百年後の研究者は「令和時代の“ミニ黒死病効果”」なんて名前をつけたりするのでしょうか?
元記事: Black Death had dramatic effect on species diversity as humans abandoned farmland, study finds