2026-10-16
材料が勝手に“合唱”を始めた? 揺らすだけで生まれた「時間結晶」
イギリス・バーミンガム大学の物理学者たちが、「ただ材料をブルブル振動させていたら、全体が自発的に同じリズムで動き始めた」という、ちょっと不思議な現象を報告しました。研究チームは、この状態を「時間結晶(タイムクリスタル)」と呼んでいます。時間結晶とは、普通の結晶が空間方向に規則正しく並んでいるのに対し、“時間方向”にも規則正しく繰り返す運動パターンをもった物質のこと。理論上は知られていましたが、まだまだ珍しい存在です。
実験では、特殊な構造を持つ人工材料に振動を与え、その中を伝わる波を観察しました。最初はバラバラの小さな振動があちこちで起きていたのに、時間が経つにつれ、波の長さや周期が変化しながら“まとめ上げられ”、最終的には材料全体が1つの大きなリズムで揺れ出したのです。研究者はこの現象を「wave coarsening(波の粗視化)」と名付けています。
ポイントは、誰かが外から“指揮者”として制御したわけではなく、材料そのものの性質から、自発的に同期が生まれたところ。たくさんのメトロノームを並べると、いつの間にか同じタイミングでカチカチ鳴り出す有名な実験がありますが、それに似たことが、もっとミクロな世界で起きているとイメージするとわかりやすいかもしれません。
物質が自分で“リズムをそろえる”性質を使えば、将来は新しいタイプの時計やセンサー、エネルギー制御デバイスができるかも? あなたはどんな応用を思いつきますか。
元記事: Vibrating material organises itself into a single rhythm