2026-10-10
生まれる前に“がん”がうつった?双子の赤ちゃんをつないだ1通の血管
がんはふつう、生まれてからその人の体の中で細胞が変異して発生しますよね。ところが今回報告されたのは、「まだお母さんのおなかの中にいた双子の赤ちゃんのあいだで、がん細胞が“うつった”」という、かなりレアでショッキングなケースです。
イギリスなどの研究チームが調べたのは、一卵性双生児の女の子たち。一人が乳児期に白血病(血液のがん)を発症し、もう一人も少し遅れて同じタイプの白血病になりました。遺伝子解析を進めると、がん細胞の変異パターンがほぼ完全に一致していたため、「もともと片方の胎児で生まれたがん細胞が、胎盤の中で二人をつないでいた血管を通って、もう片方に“転移”した」と考えるのが自然だと結論づけられたのです。
実は、母親から赤ちゃんへがんが移る「母児間転移」の可能性は、これまでもごく少数ながら報告されてきました。しかし胎児どうし、しかも双子間での転移がここまで明瞭に示されたのは、非常に珍しいケースです。
研究者たちは、「この事例はあくまで極端にまれ」であり、妊婦さんが過度に心配する必要はないと強調しています。その一方で、「がん細胞が胎盤バリアをどう突破するのか」「なぜ多くの場合は防げているのか」を理解することは、がん転移そのものの仕組み解明にもつながると期待されています。
“生まれる前から共有されていた運命の病気”というのは切ない話ですが、ここから未来のがん治療のヒントが生まれるかもしれません。もしあなたが医師だったら、この双子にどんな言葉をかけたいと思いますか?
元記事: Scientists Trace How Cancer Passed Between Twins Before Birth