2026-09-14
涙と母乳に“古代の殺菌兵器”? 現代人より強いバージョンを復元してみたら…
目から出る涙や、赤ちゃんに与える母乳の中には、「リゾチーム」と呼ばれるたんぱく質が含まれています。これは細菌の細胞壁を壊してしまう“天然の殺菌酵素”で、私たちの体を守る防御システムのひとつです。最新の研究では、このリゾチームについて「進化の過程でどんな姿だったのか」を、コンピューターと実験の力でさかのぼることに成功しました。
研究者たちは、さまざまな動物のリゾチームの遺伝子配列を比較し、「共通祖先はどんな構造をしていたはずか」を推定。その“ご先祖リゾチーム”を実際に合成し、その殺菌能力を試してみました。すると一部の古いバージョンは、現代人が持っているリゾチームよりも強力に細菌を攻撃することがわかったのです。
では、なぜ人間は“最強バージョン”をキープしなかったのでしょうか? 研究者は、強すぎる殺菌力は、体にとって「刃物の持ちすぎ」になってしまう可能性を指摘しています。たとえば、腸内細菌のような“味方のバクテリア”まで攻撃してしまうかもしれません。進化の中で、「そこそこ強くて、でも安全」というバランスの良いところに落ち着いたのでは、という見方です。
私たちの涙や母乳に、そんな“進化の取捨選択”の結果がしみ込んでいると思うと、なんだか不思議ですよね。あなたの体にも、まだ知られていない“古代からの工夫”が、いくつ隠れていると思いますか?
元記事: Tears and breast milk contain an ancient weapon against bacteria