2026-09-06
“悪魔の花”がタイの森の地下からひょっこり 見つかったときにはすでに絶滅寸前?
タイ西部の国立公園で、地面の下にひっそりと隠れていた“悪魔の花”が見つかりました。名前は「Thismia daemona(ティスミア・ダエモナ)」。ラテン語の種小名“daemona”は「悪魔っぽい」という意味で、その名の通り、黒〜濃いオレンジ色の花びらとツノのような突起がかなりインパクトのある見た目です。
この植物は、普通の草花とちがって、自分ではほとんど光合成をしません。森の地面の下でキノコ(菌類)から栄養をもらって生きる「菌従属栄養植物」と呼ばれるグループの一種です。ふだんは土の中に隠れていて、開花するときだけ小さな花が地表に顔を出す、とても地味で見つけにくいタイプの植物です。
研究チームがこの“悪魔の花”を見つけたのは、タイのトン・パー・プム国立公園の山地の常緑林。現地での調査で、確認できた個体は50株に満たなかったといいます。そのため、国際的な絶滅危惧評価の基準に照らして、いきなり「絶滅危惧IA類(Critically Endangered)」相当と判断されました。
花の形もかなり独特で、ランタンのような筒状の本体の上に、トゲのついた王冠のような部分が乗っているデザイン。論文を書いた研究者は、この角ばったシルエットと暗い色合いが、まるで小さな悪魔の顔のように見えるとして、この名前を付けたそうです。
こうしたティスミア属の植物は、マレーシアやボルネオ島など東南アジアに点々と分布していて、どれも局所的で希少なものばかり。森の伐採や道づくりで、すぐに生息地が消えてしまうおそれがあります。
私たちが観光で歩いている森の足元にも、もしかしたらこんな“闇属性”の小さな花が潜んでいるかもしれない──そう思うと、土の上を踏む足が少し慎重になりませんか?