2026-07-22
“世界でいちばんパンチが強い”エビ、じつは自分を守る「音のバリア」を張っていた
海の生き物の中で「パンチ力No.1」と言われるのがテッポウエビ…ではなくシャコの仲間、いわゆるモンハナシャコなどのマンティスシュリンプです。英語では“mantis shrimp”と呼ばれ、鎌のような前脚で超高速パンチを繰り出します。その威力は、水槽のガラスを割るほどと言われるレベル。
最近の物理学と生物学を組み合わせた研究では、この“怪力エビ”が、パンチのときに自分の体を守るため、「フォノニック・シールド(phononic shield)」と呼ばれる音のバリアのような仕組みを作り出している可能性が示されました。フォノンとは、固体中を伝わる振動(音波)を粒子として扱う物理用語で、要するに「振動エネルギーの流れ」をコントロールする技術です。
シャコのパンチは、水中で衝撃波や泡(キャビテーション)を発生させるほど強烈で、本来なら自分の腕の骨や殻もボロボロになってしまうはず。しかし、その“パンチのハンマー”部分の微細構造を詳しく調べると、衝撃がうまく分散され、特定の方向にはエネルギーが伝わりにくくなるような、天然の防御システムが組み込まれていることがわかってきたのです。
研究者は、こうした構造をヒントに、新しい耐衝撃素材や防具、さらには静音・防振技術への応用を目指しています。生き物が何百万年という時間をかけて作り出した“設計図”を、人間がハイテク材料としてマネしようというわけですね。
海の底でカニや貝を殴りつけている小さなシャコが、未来のヘルメットや防弾素材のモデルになるかもしれない――そう考えると、自然のデザイン力、あなどれません。あなたはどんな製品に、この“音のバリア”技術が使われたら面白いと思いますか?
元記事: The animal kingdom's mightiest puncher creates a 'phononic shield' for self-protection