2026-09-29
米連邦準備制度理事会、AIが雇用と物価に与える影響を詳細分析 金融政策への組み込みが現実味
米連邦準備制度理事会(FRB)のクック理事は、2026年9月28日の講演で、人工知能(AI)が米国経済にもたらす影響について最新の見解を示しました。FRBはこれまで、生産性や物価に関するマクロ指標を重視してきましたが、今回の講演では、生成AI(文章や画像を自動生成するAI)やエージェント型AIが、賃金格差や労働移動を通じてどのように家計へ波及するかが詳しく語られました。
クック理事は、過去のIT革命と同様に、AIも長期的には生産性押し上げ要因になり得る一方、特定の職種が急速に自動化される「転換期」には、失業や賃金停滞が局地的に起こりうると指摘しました。また、AIを活用できる大企業と、投資余力の乏しい中小企業との間で生産性ギャップが広がれば、市場集中や価格支配力の強化を通じてインフレ(物価上昇)経路にも影響しうると分析しています。
一方で、FRBはAIそのものを規制する権限は持たず、適切な「ガードレール(安全柵)」をどう設計するかは議会や行政府の役割だと強調しました。中央銀行としては、AIが引き起こす雇用構造変化や投資ブームを、データと実証研究を通じて丁寧に把握し、金利政策や金融安定政策に反映していく方針を示した形です。AIが金融政策の前提条件そのものを書き換えつつあることを示す、象徴的なスピーチと言えるでしょう。
元記事: Speech by Governor Cook on an update on AI and the economy